上口唇短縮術|手術の詳細
上口唇リフトとも呼ばれている方法で、鼻の下の余分な皮膚と筋肉を切除し、鼻下から上口唇までの距離を短くする手術です。
鼻下から上口唇までの距離がもともと長い方や、加齢による筋肉の垂れ下がりが原因で鼻の下が長い方に対して、間延びした印象、いわゆる馬面の改善や、より可愛らしい感じにするという目的で行います。
鼻下で切除する皮膚は、患者様のシワの形によって下記の2 パターンから選択させて頂きます。
■ パターン1
■ パターン2
【麻酔方法】
局所麻酔 笑気麻酔 ラリンゲルマスク
上口唇短縮術|ダウンタイム・術後経過
【ダウンタイム】
個人差があります。
■ 腫(は)れ
2~3 日目をピークに7~10 日間程で目立つ腫れはひいていきます。
内出血や感染症が起こった場合は、腫れが長引くこともあります。
■ 内出血
細かい血管が傷つくと、皮膚の下で出血し、鼻下や上口唇周辺が紫色や緑色になりますが、1~3 週間で消失します。
■ 抜 糸
5 日目
■ メイク
治療箇所以外は当日からメイク可能です。5 日目の抜糸後からは全体にメイク可能です。
■ 通 院
5 日目、2 週目
【治療後の経過】
1. むくみ
術後1 ヶ月程は傷部分につっぱりが生じ、上口唇が延びにくくなります。
そのため、表情が作りにくいと感じます。また、腫れが引いたあともムクミがしばらく続くため、その間鼻下から上唇にかけて厚みを感じたり、小鼻が広がって見えることがありますが、4~6 ヶ月程で落ち着きスッキリと見えてきます。
2. 傷 跡
創部の傷の赤みは数ヶ月かけて薄茶色(色素沈着)から白っぽい線へと変化し改善します。
3. 完 成
約4~6 ヶ月
上口唇短縮術|術後に起こりうるトラブル・対応
【喫煙について】
術前2 週間前~1 ヶ月は禁煙をお願い致します。喫煙により血液の循環を悪くすることで、傷の治りが悪くなります。
その為、傷口が赤く盛り上がって目立つ、また、頭の中の傷口の脱毛箇所が広くなってしまうことがあります。
また、細菌がついて感染を引き起こす原因にもなります。
手術後4 ヶ月は腫れや炎症が残っているため、傷が酷く残りやすく、また癒着(ゆちゃく)が強く変形が起きやすいため、原則として再手術には適さない時期です。腫れや炎症が治まる4 ヶ月以降に判断し、調整を行わせていただくことをご了承下さい。
上口唇短縮術|トラブル一覧
A) 感染(化膿する)
B) 傷口が開く
C) 中縫いの糸の露出
D) 傷跡の段差・凹み
E) 傷が赤く盛り上がる
F) 鼻の穴や小鼻の左右差
G) 小鼻が広がってみえる
H)小鼻が下に引っ張られる
I) 鼻が長く見える・鼻の向きの変化
J) 上唇のリップラインの形の変化
K) 上唇の赤い部分に厚みが出る
L) 鼻下が短すぎる(上口唇短縮の効果が有りすぎる)
M) 鼻下がまだ長く感じる(上口唇短縮の効果が足りない)
N) 感覚麻痺
A) 感染(化膿(かのう)する)
A-1トラブルの内容
上口唇短縮の術後治療部位に「熱感」「赤みが出る」「強い痛み」「強い腫れ」等といった状態が長引く場合には、感染が疑われます。
放置すると皮膚が破れ、膿が出て傷跡が残りますので、そうなる前に治療が必要です。
A-2 対応
感染が起きた場合は、内服薬の服用、抗生剤の投与、洗浄をします。
また、感染がひどいケースでは、傷口の一部を再度切開し膿を出す必要があります。
放置すると皮膚が破れ、膿が出て傷跡が残りますので、そうなる前に治療が必要です。
B) 傷口が開く
B-1トラブルの内容
稀に糸が外れたり、傷口の治りが悪く、傷口が開いてしまうことがございます。
B-2 対応
糸が外れて傷が開いた場合は、再縫合をさせていただきます。
C) 中縫いの糸の露出
C-1トラブルの内容
中縫いの糸(皮膚の下の組織を縫い合わせる糸)が露出することがあります。
C-2 対応
放置していると化膿する危険がありますのでお早めに来院下さい。糸を取り除く処置をさせて頂きます。
D) 傷跡の段差・凹み
D-1トラブルの内容
縫合は丁寧に行っておりますが、肌の性質、縫合部の緊張やズレにより傷跡の段差や凹みが起こる場合があります。
D-2 対応
傷跡に段差や凹みがおきた場合には、CO2 レーザーで削って滑らかにしたり、ぼかしたりする処置を行わせて頂きます。レーザー処置後は治療部位に約3 ヶ月程度赤みが残ります。
また、レーザーでは治療できない大きな段差は切り取って縫合します。
※ これらの処置を行っても、傷跡が完全に消えるわけではない事をご理解下さい。
E) 傷が赤く盛り上がる
E-1トラブルの内容
切開部分が赤く盛り上がることがあります。1 度に切除する量が多い程、傷に緊張がかかり、赤く盛り上がりやすくなります。また、体質的に盛り上がりやすい方もいらっしゃいます。
E-2 対応
赤く盛り上がった場合は、1 ヶ月に一度、ケナコルト(ステロイド)注射を打つことで改善が期待出来ます。
十分な効果が得られるまで注射を繰り返さなければならない場合があります。
※ ステロイドの副作用として、傷が凹む、毛細血管が浮きでるといった事があります。
F) 鼻の穴や小鼻の左右差
F-1トラブルの内容
元々ある鼻の左右差・鼻の穴の床の皮膚を切除する量のわずかな左右差・頬の筋肉に引っ張られる力の左右差によって、鼻の穴の広がりに左右差が生じることがあります。
F-2 対応
広がった方の鼻の床の皮膚を切除して狭くし、反対側の大きさに近づける手術を行わせて頂きます。
※ 但し、修正手術をしても完全な左右対称にはならないことをご理解下さい。
G) 小鼻が広がってみえる
G-1トラブルの内容
鼻の穴の床の皮膚を切除すると、頬の筋肉で外に引っ張られるため小鼻が広がりやすくなります。上口唇を短くする量が多いほど、小鼻に広がりが生じる傾向があります。
G-2 対応
改善方法としては、糸で小鼻を縮める、もしくは鼻の床の皮膚を少量切り取って縮める方法が有効です。元々小鼻が広がっている方には、鼻翼縮小の手術が適しています。
H)小鼻が下に引っ張られる
H-1トラブルの内容
口唇の皮膚に引っ張られ小鼻が下に下がることがあります。
H-2 対応
時間の経過により傷が柔らかくなると戻ってきますので、3ヶ月は経過をみて下さい。
それでも小鼻の下がりが改善されない場合は、小鼻を糸でつり上げる手術を行わせて頂きます。
I) 鼻が長く見える・鼻の向きの変化
I-1トラブルの内容
鼻柱基部が上口唇によって下に引っ張られるため、正面から見た場合、鼻が長く感じることがあります。
また、横から見た場合、鼻柱基部が下降するのに対し鼻尖部分はその位置が変化しないため、鼻柱から鼻尖にかけての角度が上に傾いて、鼻尖が上を向いたように見えることがあります。
I-2 対応
鼻の中に糸を通し、鼻中基部を持ち上げる手術を行わせて頂きます。
※但し、上口唇が下に引っ張る力が強いと十分な修正が得られないことをご理解下さい。
J) 上唇のリップラインの形の変化
J-1トラブルの内容
小鼻の端から端まで皮膚と筋肉を切除して上口唇を短縮しますので、主に上口唇の中央部分が上方向へ引っ張られることになります。その為、上口唇のリップラインの形は中央が高くなり、富士山形になる傾向があります。
そして口角は相対的に下がったように見えます。
J-2 対応
口角が下がったように見える場合、口角を持ち上げたいという希望に対しては、口角挙上術が有効です。
※但し、口角付近に傷跡ができることをご理解下さい。
K) 上唇の赤い部分に厚みが出る
K-1トラブルの内容
上口唇が短縮されると、リップラインが上に引っ張られる為、上口唇の赤い部分が、正面から見ると厚くなることがあります。厚くなる程度には個人差があります。
K-2 対応
上口唇の赤い部分の厚みを薄くするには、赤い部分の粘膜を切り取る、口唇縮小術が効果的です。
L) 鼻下が短すぎる(上口唇短縮の効果が有りすぎる)
L-1トラブルの内容
短すぎると感じた場合は、元に戻すことは容易ではありません。
L-2 対応
年月が経過するにつれて皮膚は伸びてきます。それでも短いと感じる場合には、ご希望により皮膚移植をすることによって鼻下の皮膚を伸ばすことは可能です。
※ しかし、傷跡が残りますのでおすすめはしません。短縮しすぎないように注意していただくのが肝心です。
M) 鼻下がまだ長く感じる(上口唇短縮の効果が足りない)
M-1トラブルの内容
上口唇は伸びる組織の為、術後に多少皮膚が伸びてきます。例え10mm 切除したとしても、術後に組織が伸びてくるため、10mm 短縮されたまま保たれるわけではありません。
M-2 対応
上口唇がどうしても長いと感じる場合には、ご希望により再手術を行うことは可能です。
※ 但し、短くすればするほど上に記載したような、鼻や上口唇の変形が生じることをご理解下さい。
N) 感覚麻痺(かんかくまひ)
N-1トラブルの内容
鼻下から上口唇部分に関係する細かい神経を触るため、鼻下から上口唇の感覚が麻痺(まひ)したり、しびれを感じたりすることがあります。
N-2 対応
通常3~12 ヶ月程で改善してきますが、まれにしびれが残ることもあります。